2026/02/05 00:41

2000年代の初め、

学生だった頃の私は、世の中に溢れていたシルバーアクセサリーに強く惹かれていました。

当時の私にとって、ジュエリーの世界とはその延長線上にあるもので、

それ以外の可能性は、ほとんど見えていなかったと思います。


専門学校に進み、

ジュエリーと彫金を学び始めたことで、

それまで「身につけるもの」だったジュエリーは、

少しずつ別の存在に変わっていきました。


アートジュエリーやコンテンポラリージュエリーに触れ、

貴金属や金属にこだわらず、

異素材や本来価値がないとされてきたものに

新たな意味を与えるという考え方を知りました。


素材の価格ではなく、

「何を表現しているか」が問われる世界。

その概念に触れたことで、

当たり前だと思っていたジュエリー観は、揺らぎ始めました。


日本では、ジュエリーは金工の一分野として扱われ、

その存在はどこか曖昧です。

一方、オランダやドイツでは、

アートジュエリーやコンテンポラリージュエリーが

“ジュエリー”として明確に評価されています。


その価値観に触れたことで、

私は改めて問い直しました。

自分は、どんな素材と向き合いたいのか。


概念としての自由を知ったうえで、

私が選んだのは、金属でした。


金属は、わずかな力加減や工程の違いで、驚くほど表情を変えます。

向き合うほどに、応えてくれる素材です。


異素材を認める思想を知ったからこそ、

その上で金属と向き合うことを、

自分の意思として選びました。


彫金とジュエリーは、

価値観や思考を静かに映し出す存在になり得る。


その可能性に惹かれ、

私は今も金属に向かい、

ジュエリーを作り続けています。